Green Blue Education

プロジェクト紹介 Project introduction

震災からの復興を考える~Eco-DRRと私たちができること~

チーム名「自然科学部」
◎学校名/団体名「宮城県南三陸高等学校自然科学部 3年」
◎メンバー名「佐藤 碧/西城 百華/西城 美咲」

津波が生んだ命の干潟 ― 松原海岸の生物多様性と未来への継承

南三陸町志津川湾は日本北部の太平洋に面している。寒流と暖流が混ざり合う生物多様性の高い海だ。松原海岸は志津川湾の最奥部に位置し、2011年3月に発生した東日本大震災に伴う大津波の際に最も大きな被害を受けたエリアの一角にある。
ここに、大津波の後、小さな干潟が生まれた。この場所に、どんな生きものたちが生息しているのかを知るために、2017年、私たちは生物調査をスタートさせた。
これまでの調査から、絶滅危惧種を含む214種ものベントス(底生動物)が記録され、松原海岸が生物多様性の高い干潟であることがわかった。
震災後の復旧工事では、私たちの調査結果を受けて、工事の計画が見直され、干潟の生物や環境に配慮したさまざまな工夫が施されることになった。その後の私たちのモニタリング調査から干潟環境が生物にとって住みやすい環境が維持されていることがわかった。

目的
私たちは、今後も生物多様性の高い干潟の維持を目指し、地域の豊かな自然を地域の人に触れてもらい、知ってもらいたい。そしてこれからも松原海岸を含む南三陸町の干潟環境の評価を継続し、環境教育の場として活用したい。

津波が生んだ命の干潟 ― 松原海岸の生物多様性と未来への継承

いのちを育む海へ―松原海岸から広がる生物多様性と学びの場づくり

私たちは、松原海岸でのモニタリング調査を継続するとともに、地域の海辺の環境の生物多様性を広げるために様々な場での発表や普及活動を行う。町の小中学生に環境を知ってもらうことで南三陸町の豊かな自然を知り、考え行動する力を身につけてもらう。
また、干潟に続く海底にアマモの苗を植え、東日本大震災で流失したアマモ場を復活させる。アマモ場は干潟生物たちや、魚や甲殻類の生息の場所となり、様々な生物の幼生を育むゆりかごの役割も果たす。さらにアマモは光合成を通じて二酸化炭素を吸収し、海底に貯留するブルーカーボンの役割を持っている。
このように、志津川湾の生物多様性の保全と地球温暖化を抑制する活動を通して、干潟を教育活動の場としても活用する。

見えない力を見えるかたちに―干潟とグリーンインフラを知ってもらうために

私たちはグリーンインフラの考えを広めていきたいと思っている。グリーンインフラとは、土地の生き物や環境を保護して自然の持つ力によって災害による被害を防止または軽減させる取り組み・考え方のこと。グリーンインフラは生物多様性を保全し、防災や減災にも役立つ。つまり、Eco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)の実践につながる。
地域住民の要望により守られている干潟なのに地域の人々に干潟の重要性があまり認知されてない。小中高生だけでなく幅広い年代の人に干潟を知ってもらうための調査や取り組みを実施したい。