プロジェクト紹介 Project introduction
ニワトリと目指したいサーキュラーな社会
- チーム名「チキトラ」
- ◎学校名/団体名「都城市立姫城中学校3年」
◎メンバー名「北郷 晶子/北郷 優斗」
「チキントラクター」着想の背景
地域が抱える雑草問題と、ニワトリの飼育におけるアニマルウェルフェアという二つの課題に同時に向き合うため、「チキントラクター」という独自の取り組みを始めた。
都城市は自然豊かな地域だが、その分、空き地や耕作放棄地の雑草は住民の悩みの種だ。除草作業は重労働であり、高齢化が進む地域では大きな負担となっている。また、ニワトリの飼育においては、効率を重視するあまり、動物本来の行動や福祉が軽視されがちな現状がある。私は、これらの問題を同時に解決する糸口として、ニワトリの力を借りることを思いついた。

地域に広がった驚きと共感の輪
私のチキントラクターの取り組みは、文字通り「ニワトリにトラクターの役割をしてもらう」というシンプルなアイデアに基づいている。具体的には、移動式の簡易なトラクター部分を作る。トラクターの広さはニワトリ3羽が入ることを想定して、その密度を計算したうえで作っている。このトラクターを雑草の生い茂る場所に移動させ、ニワトリに自由に過ごしてもらう。ニワトリたちは、雑草を食べるだけでなく、土をつつき、虫を探す過程で土を耕し、糞をすることで自然の肥料も供給してくれる。これにより、除草剤を使用することなく、環境に優しい方法で雑草を抑制することができる。ニワトリたちにとっても、ケージの中で飼われるのではなく、屋外で自由に動き回り、自然の餌を食べることは、ストレスの少ない豊かな生活を送ることにつながる。
これまでに、学校の敷地内や、地域の協力者の畑の一部で実証実験を行ってきた。最初は半信半疑だった地域の方々も、実際にニワトリたちが雑草をきれいに食べてくれる様子や、土が柔らかくなるのを見て、驚きとともに興味を持ってくれるようになった。定期的に観察日を設け、ニワトリたちの健康状態や雑草の除去効果を記録し、より効果的な運用方法を模索している。活動の様子はSNSや学校の広報誌で発信し、地域の方々との交流の場も設けるように心がけている。
自分らしく、楽しみながら社会と関わる
この活動が、たとえ汎用性の低いものであったとしても、「自分にできることを、自分らしく楽しみながら」行動することの重要性を、多くの人に伝えたい。そして、この小さな活動が、より良い地域社会、そして地球環境の実現につながることを信じて、これからもニワトリや地域の人たちと活動を続けたい。