プロジェクト紹介 Project introduction
農業廃棄物問題解決!リンゴ剪定枝「SMOKE CHIPs」
- チーム名「Hakuno Glocal Apple Project」
- ◎学校名/団体名「青森県立柏木農業高等学校、3学年」
◎メンバー名「木下 結貴/佐藤 凜央/長利 天生」
捨てないりんご農業
農業高校では、「課題研究」という授業があり、そこでは研究班に分かれ、私たち果樹班に所属している。国際的(Global )な視点を持ちながら、りんごを中心とした地域( Local )課題を解消することを目標とし、(Glocal )日々研究活動を行っている。
青森県はリンゴ生産量一位を誇るが、剪定枝の廃棄問題は、多くの農家が頭を悩ませている。その剪定枝を活用した燻製用の商品「SMOKE CHIPs」を今回開発した。その結果、廃棄物問題の解決になるとともに、温室効果ガスの削減にも大きく貢献できるとわかった。

青森から始まる気候危機への挑戦
野焼きで排出される主なGHG、温室効果ガスは、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の3つである。まず、野焼きにおける二酸化炭素の排出にターゲットを絞ると、減少傾向だが、依然として高い排出量となっている。メタンは大気汚染にも繋がるとされている。排出量はほぼ横ばいで、二酸化炭素より悪影響であるため、早期に減少させることが求められる。そして、二酸化炭素の約300倍有害である一酸化二窒素は、オゾン層の破壊にも繋がる気体であり、排出量は横ばいで、人体にも地球環境にも有害であるため、削減は急務だといえる。
青森県内における剪定枝の排出量は72,200トン。県内に占める中南地域のリンゴ生産量は59%。そこから剪定枝排出量を計算し、計42,598トンとした。中南地域の剪定枝を全てSMOKE CHIPsにしたと想定する。そこから、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素のGHG抑制量の推定値を算出。中南地域の剪定枝を全てSMOKE CHIPsにした場合の、日本のGHG抑制割合を割り出した。その結果、二酸化炭素は60%、メタンは35%、一酸化二窒素は31%となった。日本の二酸化炭素排出量を6割削減できれば、地球規模での温暖化に一定の貢献を果たせる。また、メタンは大気中に10~12年程度しか残らないため、3割削減することができれば、即効性のある気候変動対策となる。そして、一酸化二窒素は少量でも強力であるため、3割減らすことで二酸化炭素数千万トン分の抑制効果を得られる。
未来の安心した暮らしを守るために
私たちの環境改善、地域活性化の取り組みは、岡崎弘前大学副学長、長尾平川市長から高い評価を受けた。GHGの削減によって、未来世代の暮らしを守り、持続的な農業・社会の実現に貢献していく。