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プロジェクト紹介 Project introduction

辰野川のカキの生態調査と貝類の持つ水質浄化能力

チーム名「カキ班」
◎学校名/団体名「愛媛県立宇和島東高等学校生物部」
◎メンバー名「中尾 力広/本田 紗矢/横久保 陽葵/新野 翔太/宮本 晴人」

カキが守る宇和島湾

愛媛県立宇和島東高校生物部は、「実体験」をスローガンに、自分の目で見て肌で感じる活動を念頭に日々活動している。生物部に所属している部員が、水質浄化班(本研究の班) 、トキワバイカ班、カキ班の3つに分かれて、それぞれで地域貢献に向けた取組を行っている。
カキ班は、身近な河川である辰野川におけるカキの生息状況の調査や水質浄化能力を持つとされる二枚貝のカキについて、その水質浄化能力に関する検証などに取り組んでいる。宇和島市はタイやハマチ、真珠などの養殖業が盛んであり、この一次産業の発展に向け、宇和島湾の水質の改善に向けた研究を継続している。

カキが守る宇和島湾

カキの生息密度に影響を与える水質要因の解明

宇和島湾に流れ込む辰野川河口付近の水質調査(パックテスト)から、そこに生息するカキの密集度合いのばらつきは、河川の COD 値やリン酸値(PO43-)等の影響を受ける可能性が、これまでの本校生物部の研究から示されている。本年度は、パックテストによる水質調査は継続しつつ、昨年度の発表会等で指摘を受けた”河川の下層の塩分濃度”に着目してカキの生息域を追った。ブロックと空き缶を用いて作成したオリジナル調査装置「ブロックン」を河川の底に沈め、下層の海水を採取し、カキの生息域と塩
分濃度等との関係性を検証した。その結果、下層の水の COD 値は、表層と同様に変動が大きいこと、また、塩分濃度については高くなっている傾向が示された。場所により塩分濃度が高くなることは、内陸までカキが生息できる要因の一つではないかと考えられる。

きれいな海をつくる養殖業

河川の水質(含海水濃度)とカキの生息域の関連性をより詳細に調査したい。カキはどのような水質を好むのかやカキなどの二枚貝が持つ水質浄化能力を活用して、宇和島市の養殖業への貢献したい考えている。ハマチの餌の残りをその下層のエビなどが食べさらにその下層に二枚貝を養殖して、水質を浄化させることを目的に“複合養殖”の実現に向けて取り組みたい。この複合養殖を、極力海水を汚さない養殖業の手法として活用に向けた取組を行い、宇和島市の養殖業をさらに発展させるとともに、宇和島湾をよりきれいな海にしていきたいと考えている。